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廃墟の片隅で春の詩を歌え[仲村つばき] 感想(全3巻分)

Twitterで評判がすごく良かったので読んでみました。

転生なし特殊能力なしのド王道西洋風王室モノで面白かったです!(もちろん転生も特殊能力も好きです)

 

 

公式のあらすじ

幽閉された亡国の王女・アデールにもたらされる、数奇な運命! 革命により王政が倒れた国、イルバス。国王夫妻と王子らは処刑され、生き残った三人の王女たちもそれぞれ幽閉されていた。末王女のアデールは、特に過酷な辺境の地・リルベクに立つ「廃墟の塔」に閉じ込められ、希望のない日々を送っている。だがある日、謎の青年エタンが廃墟の塔に姿を現した。他国に亡命した姉王女・ジルダの命を受けここに来た、というエタン。亡国の王女を待ちうける未来とは? 凍り付いたアデールの運命が、音を立て動き出す――!

 

以下感想(ネタバレ無しのはず)

あらすじの通り革命で父王が失脚して長年幽閉されていた王女が主人公。

革命政府の雲行きが怪しく王政復古となり姉と帰国→権力争いと国の立て直し というところから始まります。

国の動向のストーリーと並行して、幽閉され、周りから押さえつけられ、といった経緯で自分に自信を失っていた主人公がある事件を主なきっかけに強くたくましい王族になっていく…という成長物語でもあります。

※甘い要素は薄いです。

 

主人公より王位継承順位が上の姉が2人いるんですが、三姉妹の仲がとにかくドロっとしており…愛憎入り混じりかつ権力争いも絡む複雑な姉妹関係が楽しめます(楽しいか…?)

姉2人の主人公への態度は基本的に結構辛いのですが、姉時点の描写では姉の人間臭いところというか、これまでの行動の人間的な背景がきちんと見えるので嫌いにはならないキャラクターでした。

 

あと鉄板の政略結婚描写もあります!今まで読んだ少女モノで一番ちゃんとした(?)政略結婚だった気がします。

 

細かい駆け引きや権謀術数をジワジワやっていうタイプではなく一代記みたいな感じなので、時系列は結構早く進みます。それもあってか3巻分一気に読める勢いもあるなぁと思いました。

小説小説によくある1巻ごとに小さい話が締まって巻数を重ねる方式ではなく、長い話の3分冊なので1巻はほぼ序章です。でも1巻が合う人は多分最後まで読めると思うので、肉親の権力争いとか不遇な育ち方をした主人公が強くなっていく描写に興味がある人はオススメです〜!